2005年12月

2005年12月27日

持ってはいけない?子供の資産(3)

ゼロ・クーポン債という債権があります。

この債権は、満額を割り引いた形で発行されます。

どういうことかと言いますと、10,000ドル満額のゼロ・クーポン債を買うときは、たとえば、10,000ドルを割引した額を購入します。9,000ドルでゼロ・クーポン債を購入し、その後2.25%の利率で、5年経って満額になると、10,000ドルになるというものです。

その間、利息は支払われないため、収入が発生しない仕組みになっているのです。

ゼロ・クーポン債は、その仕組み上、学費の貯蓄に有効であるとされ、"College Savings Bond"の名前のもとに、いろいろな形のゼロ・クーポン債が開発されました。

しかし、実質的にゼロ・クーポン債を子供に持たせ、学費に備えるとすると、子供の資産の割合が増えてしまいます。

その結果、FCが高くなってしまい、家族負担が増えてしまいます。

利率が低い上に、FCを押し上げてしまうゼロ・クーポン債は、今では学費のベストな貯蓄手段とはいえないでしょう。

 


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sfukushi at 15:19|この記事のURLTrackBack(0)

2005年12月12日

持ってはいけない?子供の資産(2)

持ってはいけない(?)子供の資産の2番目は、UGMA Custodial アカウントです。UGMAとは、Uniform Gift to Minors Actの略です。

アメリカの多くの州では、未成年が自分の名義で証券や生命保険を契約することが禁止されています。それでも子供がこういった形で資産を持とうと思った場合、本来Trust(信託口座)を設立して、資産を移管しなければいけませんでした。このTrustの設立には、通常、弁護士を巻き込み、それなりの時間と手間がかかります。

UGMAは、この資産の移転を行いやすくした制度です。弁護士のサインなしに、信託口座を簡単に作ることができるのです。この際、Custodian(後見人)を指名しますが、親が後見人になることが多いそうです。成人になるまでは、子供本人に、口座の使い途を決める権利はありません。後見人は、子供の利益になるよう、そのお金を使うことが義務付けられています。

節税をすすめるCPAの中には、子供の教育資金のために、UGMAを設立すべき、と言う人がいます。これは、以下の考え方に基づいています。

- UGMAを開き、株などの資産を移転する
- UGMA口座の中で、株が運用益を出す
- 運用益は、最初の750ドルが非課税、次の750ドルが子供の税率で課税されるので、大人が同じ資産を持っているよりも税金が安くなる

さて、このUGMAアカウント、大学の学費補助計算の上では、子供の資産として、計上されてしまいます。したがって、学費補助の観点から言うと、明らかに不利です。

例えば、4,500ドルをUGMAで持ち、運用の結果5,000ドルになったとします。この場合、1,750ドル(5,000ドル×35%)が家族負担に組み入れられてしまいます。これに対して、UGMAの節税効果は、多くて200ドル弱(運用益500ドル×税率)しかありません。

もし今、子供が現在入学前で、UGMAに資産を持っている人がいたら、以下のことを検討しましょう。

- お金を、大学入学前に、使いきることができます。UGMAの使い道の条件は、「子供の最大限の利益を考慮すること」であって、必ずしも教育費に使わなければならないわけではありません。子供の医療費、洋服、車、こういったものに対しても、お金を使うことができます。大学に入る前に、済ませることのできる、子供関連の出費は、UGMAアカウントから行いましょう。

- 税金の特典がより有利な529貯蓄プランに、資産を移管することができます。ただし、529の税特典は、2010年に終了すること、529プランのお金は大学の学費にしか使えないことに注意してください。

実際にUGMAから出費などを行う時には、CPAなどの専門家に、対象取引となるかを確認してから行うようにしてください。


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sfukushi at 21:21|この記事のURLTrackBack(0)

2005年12月06日

持ってはいけない?子供の資産

Federal Formulaの計算式を分析すると、皮肉にも、「子供名義で学費を貯蓄してきた家庭ほど、補助が多く得られない」という奇妙な現実に直面します。しかし、この事実を知っているフィナンシャルアドバイザーや、CPAは、決して多くはありません。

彼らは、金融商品を売る立場上、もしくは節税のアドバイスを与える立場上、子供名義で資産を持つことをすすめてくることがあります。彼らから、次の方法で口座を開くことを勧められた時には、「子供名義で貯蓄を行うと、家族負担が増える」ことを思い出してください。

Coverdell ESA: Educational IRAと呼ばれていた、教育資金を貯蓄するための専用口座。Coverdell ESAとして口座を開き、投資を行う。投資からの運用益が出ても、教育目的に使用すれば、非課税であるため、節税効果があるが、家族負担の増加額を考えると、節税効果は小さいと言わざるを得ない。一年間に2,000ドルを上限に積立が可能。大学だけでなく、幼稚園から高校生の間にも教育資金として利用することができるので、Coverdellに積み立てた資金は、高校生になるまでに使いきってしまった方が良い。パソコンなどの機材にも適用が可能なので、実際の利用の際には、CPA等に相談をすると良い。

529貯蓄プラン: 大学の学費貯蓄を奨励するために設けられた州ごとの制度。529プランの"529"は、税法の番号から来ている。529プランとして口座を開き、投資を行う。投資からの運用益は、大学の教育資金に利用する限りは、非課税となる。しかしながら、この529貯蓄プランの税特典は、2010年になると終了してしまう。この法律に関して何らかの延長措置がとられない限り、2011年以降は通常通り、運用益にも課税されるようになってしまう。したがって、現在、子供がまだ小さい家庭は、529プランを開くメリットがあまりないといえる。現在は、Federal Formulaには、子供の資産として貯蓄額が計上はされないものの、大学独自の計算式上では、家族負担に組み入れられることが多い。

529プランには、貯蓄プランのほかに、州によってはプリペイドプランというものもあります。プリペイドプランは、大学の学費を現在の額で事前に払ってしまうものです。大学の学費は、年間4%から7%上昇する傾向にあるので、今払っておくことで、年間4%-7%の資産運用を確定することになるわけです。このプランは、どちらかというと、資金に余裕があって、州内での大学進学が確定している家庭向けです。

(次は、UGMAアカウント)


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sfukushi at 22:14|この記事のURLTrackBack(0)

2005年12月01日

FC(家族負担)の計算方法

FC(家族負担)の考え方について触れます。学費の補助を出す側としては、

「この家族は、今の収入と資産から、どのくらい学費を払えるのだろうか?」

と考えています。そして、できる限りの額を、家族に出してもらおうと考えています。この額が、FCなのです。

できる限りの額を家族に出してもらったら、その残りの学費については、奨学金・補助金を与えるか、優遇ローンを組むという形で、その家族の子供の大学進学を助けるのです。

FCは、簡単に分類すると、次の4つの額から計算されます。これは、高校生が初めての大学進学をすることを想定したもので、社会人の大学入学等は考えていません。

・学生の収入
・学生の資産
・両親の収入
・両親の資産

・学生の収入
学生によっては短期のアルバイトなどで、収入があります。それらについては、報告する義務があります。学生の収入は、Federal Formulaでは50%がFCに組み込まれます。つまり、簡単に言うと、大学入学の前年に3000ドルの収入があったら、1500ドルが、家族負担額として加えられるのです。なお、ここで言う「収入」とは、Tax Returnで算出するAGIを、Federal Formulaで調整した額になります。

・学生の資産
学生は、銀行口座だけでなく、学費用に貯蓄した学生名義のCoverdell ESAや、UGMA口座、を持っている場合があります。Federal Formulaでは、これらの資産の35%を、FCに組み込みます。つまり、10000ドル分のCoverdell ESAを持っていると、3500ドルを、FCに組み込まれます。

・両親の収入
両親の収入は、47%がFCとして組み込まれます。例えば、40000ドルの収入があった場合、18800ドルがFCとして組み込まれます。なお、ここで言う「収入」とは、Tax Returnで算出するAGIを、Federal Formulaで調整した額になります。この調整方法については、20項目くらいの数字を使い、Tax Returnとは異なる計算を行い、税引き調整後の収入を算出します。ここで細かく述べるのは割愛しますが、多くの人にとっては、実際に得ている収入よりも小さくなります。

・両親の資産
両親の資産は、現在5.64%で計算されています。つまり、10,000ドルの資産を持っていた場合、564ドルが、FCに組み込まれるということです。学生の資産は、35%が負担額(先の例だと3500ドル)として計算されますから、学生の名義で資産を貯蓄するよりも、両親の資産を貯蓄した方が、学費補助の観点からは、有利ということになります。ただし、Coverdell ESAや、UGMA口座にも一定の節税メリットがあるので、学生に資産を持たせるべきか、そうでないかは、各自の家庭の財政状況によって異なってきます。

結論として、学生が資産、収入を持たない方が、FCが減るので、学費補助が得られる可能性が高くなります。ただし、個別の家庭を見た場合、特に収入・資産が多い家庭の場合には、学生に資産を持たせた方が良い場合もあるので、迷ったら、専門家に分析を行ってもらうようにしてください。


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