2005年11月

2005年11月26日

絶対に知っておきたいFederal Formula

学費補助を申請する際に、まず、多くの家庭が、FAFSAというフォームを提出します。このFAFSAフォームには、家庭のの収入や資産の現状を記入し、連邦政府へ提出します。連邦政府は、この提出された数字を、"Federal Formula"という計算式に当てはめ、FC = Family Contribution(家族負担)の額を決めます。

<FC(Family Contribution)とは何か>

FCは、直訳すると、「家族拠出」ということになるのでしょうが、言葉の意味合いから、私は「家族負担」と訳しています。FCは、その家族が支払わなければならない最低金額のことです。

例えば、ある学生のFCが4000ドルだったとしましょう。この時、A大学の学費は、6,000ドル、B大学の学費は20,000ドルとしましょう。この場合、この学生がA大学に行っても、B大学に行っても、FCである4,000ドルは、最低家族が支払わなければいけません。

この時、残りの学費の額のことを、Need(補助必要額)といいます。このNeedに対しては、補助が出るか、自己負担になる可能性があります。

例えば、この学生がB大学に進学した場合、以下のようになります。

学費: 20,000ドル
FC:   4,000ドル
Need(学費 - FC):  16,000ドル

この16,000ドルに対して、連邦政府、州、大学から、補助が出ることになります。16,000ドル全てが補助でカバーされればいいのですが、残念ながらそうでないケースも多くあります。したがって、実際には、その年の支出は、

FC+Needのうち、補助でカバーされなかった額

ということになります。

学費補助対策の第一歩は、このFCの額を引き下げることです。上を見ておわかりのとおり、FCの額が低ければ低いほど、Needの額が大きくなります。Needの額が大きくなればなるほど、補助を受けられる可能性が大きくなります。この計算式を理解すれば、何らかの対策を事前に練っておくことが可能になりますね。

それでは、Federal Fomulaにおいて、FCはどのように算出されているのか?

それは、次回解説したいと思います。


日本語唯一のアメリカ学費情報サービスはこちら!


sfukushi at 22:37|この記事のURLTrackBack(0)

2005年11月20日

補助額の計算

大学が学費補助額を決める際、主に2つのことを考慮します。

1. 家庭の財政状況
2. 学生本人の学業・テスト成績や、特定分野での実績、社会貢献等

このうち、まず1を見て行きたいと思います。一般的には、「貧乏だったら補助がもらえる」「お金持ちだったら補助がもらえない」と考えられています。

しかし、「貧乏」「お金持ち」と言っても、いくらの収入をもって貧乏と言うのか、いくらの資産をもって金持ちというのか、統一した基準がないと、不公平になってしまいます。特に、連邦政府が与える補助は、1000万人以上が申請を行います。これほど多い申請について、一つ一つの家庭の状況を審査し、適切な補助額を決めるためには、誰に対してもある程度公平な「計算式」を設けることが必要となってきます。この連邦政府が設けている計算式が、"Federal Formula"です。

Federal Formulaは、FAFSA(学費補助の申請書)に記載された、家族の収入や資産の情報をもとに、学費補助の額を計算する公式です。これに対して、大学側で設けている独自の計算方式を、Institutional Formulaと言います。各大学は、Federal Formulaではわからない家族の収入や資産の情報を、CSS/PROFILEという申請書や、大学独自で用意している申請書を利用して集め、独自の計算を行います。

学費補助を多く得たい、そう考えている人は、この計算式を理解する必要があります。これは、節税と似ています。

CPAは、節税効果や、控除が見込めるアイテムを、熟知しています。あなたが、税申告を行う時、CPAは、「IRAに$○○移せば、税控除が受けられる」などのアドバイスを、あなたに与えるでしょう。これは、彼らが税金算出の「計算式」をよく知っているからなのです。

例えば、アメリカの税法では、ビジネス上の引越しが控除の対象になることがあります。税法についてあまり詳しくない人であれば、「引越しで控除は得られないだろうか」と考える人は滅多にいないのではないでしょうか。

こういったルールを知っているか、あるいは教えてくれる人がいるかという違いで、あなたが実際に支払う税金の額が、変わるのです。

学費補助を申請する場合でも同じです。専門家を利用するか、自分で記入する場合には、計算式を理解する努力が必要です。このブログでは、これから、その計算式の中身を見て行きます。


日本語唯一のアメリカ学費情報サービスはこちら!


sfukushi at 21:34|この記事のURLTrackBack(0)

2005年11月14日

もらえない補助(4)Federal PLUS Loan

Federal PLUS Loanは、もはや通常のローンとほとんど変わりなく、ほとんど補助とは呼べませんが、金利が少しだけ有利な学費ローンです。これは、Stafford Loanと異なり、親がローンを組み、返済義務を負います。借りる条件は、収入と資産の状況は関係なく、クレジット履歴の良い家庭が受けることができます。

もともとの財源は連邦政府ですが、借りる先によって、2つの種類に分かれます。この2つは、申請条件等はほとんど同じですが、返済方法に、多少異なる部分があります。

Direct(William D. Ford Federal Direct Loan) Plus Loan: USの教育省からお金を借り、返済する形になります。
FFEL(Federal Family Education Loan) Plus Loan: 私企業(銀行、クレジットユニオン、もしくはFFELに加盟しているその他の企業)からお金を借りる形になります。

<対象者>
連邦政府が企画・提供しているローンであるため、受給者はアメリカ市民か、永住者もしくは一部の長期滞在者である必要があります。

<申請方法>
Direct Loan: 大学のFAO(学費補助課)から申請書とPromissory Noteを受け取り、記入・提出する。
PLUS Loan: 必要とされる書類を大学、金融機関等から受け取り、記入・提出する。
なお、FAFSAの提出は必須ではない。

<支給額>
COA(学費、生活費を含めた1年間の大学関連費用) - その他の学費補助の額 = Plus Loanで借り入れが可能な額になります。例えば、COAが6,000ドルで、学費補助を3,500ドル受けることができた場合、6,000 - 3,500 = 2,500ドルをFederal Plus Loanから借りることができます。

<金利>
Treasury Bill(政府発行の短期債券)の金利+3.1%で、上限は9%となっています。Federal Stafford Loanよりも高く、通常のローンよりも低いのが一般的です。現在、Plus Loanの金利は6.1%となっています。これに対して、Stafford Loan(卒業後)の金利は5.3%、一般のローンは7.27%となっています。

<支給方法>
まず、お金の貸し手が、ローンの資金を、大学に送ります。ローンの資金は、まず大学の学費、諸経費、寮費等に引き当てられ、余った額は、チェックかキャッシュで両親に支給されます。

<返済時期>
通常、ローンの資金が支給された日から60日以内に、支払いを開始します。猶予期間(Grace Period)は、ありません。10年以内の返済が、義務付けられています。

<返済方法>
FFEL Plus Loanには、以下の支払いオプションがあります。

Standard Repayment: 普通の返済です。毎月、一定額を返していきます。
Graduated Repayment: 月々返済額が増えていく返済方法です。
Income-Sensitive Repayment: 毎年の年収によって、返済額が変わる方法です。多く稼いだ年に、多く返せるという方法です。

Direct Plus Loanの場合は、このうち、 Income-Sensitive Repaymentを選択することはできません。Standardか、Graduatedのみ選択することになります。

Plusローンは、クレジット履歴が必要となってくるので、このローンだけで補えない学費負担が出てくる可能性もあります。そのような場合には、最終的な手段として、私設の学費ローンを利用することになります。


日本語唯一のアメリカ学費情報サービスはこちら!


sfukushi at 11:52|この記事のURLTrackBack(0)

2005年11月07日

もらえない補助(3)Federal Stafford Loans

Federal Stafford Loanも、連邦政府が主催している、優遇金利ローンですが、お金の貸し手が大学とは限らないという意味で、Perkins Loanと異なります。Federal Stafford Loanには、"Subsidized"と"Unsubsidezed"の2種類あります。

Subsidized Loan: 各家庭の財務状況によって、額が判断されます。大学卒業後6ヶ月までは、利息を払う必要はありません。その間、連邦政府が、利息を肩代わりして支払い(Subsidize)ます。

Unsubsidized Loan: Subsidizedと異なり、ローンを開始した瞬間から、利息がつきます。また、家庭の財務状況に関係なくローンを受けることができます。

<対象者>
基本的に、学生がアメリカ市民か、永住者であることが条件です。

<申請方法>
FAFSAを提出することで、申請となります。その後、銀行等でローンを組むときに、Promissory Note(ローンの金額や返済方法が記載された法的書類)が発行されますので、しっかりと保管しておくことが重要です。

<支給額>
以下、支給額の上限です。年度によって変わります。
Subsidized: 1年目$2,625、2年目$3,500、3-5年目$5,500、修士・博士$8,500
Unsubsidezed: 1-2年目$4,000、3-5年目$5,000、修士・博士$10,000

<金利>
変動しますが、8.25%を超えることはない、と規定されています。毎年7月1日に利率は更新されます。7/1/04 - 6/30/05までは、返済開始までは4.7%、返済開始後は5.3%となっています。(これと比較して、 www.bankrate.com によると、通常のローンの利率が、現在7.27%)

<支給方法>
貸し出す側である金融機関または大学(Lender)のポリシーにしたがいます。

<返済時期>
Subsidized Loanは、大学卒業後6ヶ月は無利子であるため、学生が給料を得るようになってからゆっくりと返済を開始することが可能です。Unsubsidized Loanは、利子がすぐにつく上に、複利計算となっています。どういうことかというと、借り入れを行ったら、借入額に対して利息がつき、その後、(借入額+利息)の額に対して、さらに利息がつくということです。返済金額がどの程度になるかは、ローンを組むときに十分に計画を立てておきましょう。

<返済方法>
借り入れする側の事情に合わせて、3種類の返済方法があります。
Standard Repayment: 普通の返済です。毎月、一定額を返していきます。
Graduated Repayment: 月々返済額が増えていく返済方法です。
Income-Sensitive Repayment: 毎年の年収によって、返済額が変わる方法です。多く稼いだ年に、多く返せるという方法です。

このローンも、金利面でかなり優遇されているので(特にSubsidized Loan)、Perkins Loan同様、利用しない手はありません。


日本語唯一のアメリカ学費情報サービスはこちら!


sfukushi at 16:18|この記事のURLTrackBack(0)

2005年11月02日

もらえない補助(2)Federal Perkins Loans

Federal Perkins Loansは、連邦政府が財源となり、大学が提供を行うローンの一種です。したがって、ローンの支払いは、大学に対して行います。このローンの最大の特徴は、卒業するまで、金利がつかないことです。

<申請方法>
各大学が、ローンの額を決定するため、大学ごとの学費申請フォームで申込を行うことになります。Award Letterにローンの額が記載されています。

<対象者>
基本的に、学生がアメリカ市民か、永住者であることが条件です。

<支給額>
学士で、1年で最高4,000ドル、合計20,000ドルが上限となっています。
修士・博士は、1年で最高4,000ドル、(学士分を含め)合計40,000ドルとなっています。

<金利>
金利は、現在5%となっています。ただし、高等教育のローンは、金利を税控除することができるため($2,500まで)、非常に有利なローンです。

<支給方法>
学校側が、学生のアカウントに直接クレジットするか、チェックを渡す形になります。

<返済時期>
通常、卒業してから、返済を開始するまでに9ヶ月の猶予期間(Grace Period)があります。その後、支払いを開始する形になります。返済は、10年以内に行うことになります。

<その他>
連邦政府が定める条件を満たすと、支払いを一定期間遅らせることができます。例えば、病気やケガなどで後遺障害を負ったり、特定の公共機関の仕事(低所得者のための教員等)に就いたりすると、その期間は、金利ペナルティなしで、支払いを遅らせることができます。

Federal Perkins Loanは、非常に有利なローンです。借金が嫌いというだけで、ローンを組むことを嫌がる方もいますが、有無を言わず、受給することが最もかしこい選択になります。もし、手元に十分なお金があったとしても、低金利ローンで調達したお金を、他の金利の高いアカウントに移せば、それだけで利益を見込むことができます。ただし、実際に行う場合には、専門家のレビューを受けましょう。


日本語唯一のアメリカ学費情報サービスはこちら!


sfukushi at 01:06|この記事のURLTrackBack(0)